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2014.05.17 Sat
□あらすじ□時は1980年代、日本はバブル真っ只中のその時、中国湖南省の山間地帯では未発達なインフラの為に、未だ長距離を徒歩で担う郵便配達業務があった。過酷な仕事のせいで足を悪くした父は息子に跡継ぎを託す。仕事を引き継ぐべく、父は最期の、息子には最初の仕事となる旅に共に出る。長年、父と旅をして来た飼い犬の「次男坊」も一緒に。
2泊3日で120キロもの道のりを歩いて奥地の村々を巡る。父の仕事のせいで家族は3日に一度しか一緒に過ごせなかった。永い間、父子の間には実の親子ながらよそよそしい雰囲気が漂っていた。
だが、これまで築けなかった父子関係が、2泊3日のその旅で一気に構築される!仕事の引継ぎは万事終了し、明日からは父が家に、息子が旅に出る日々が始まる。
「山の郵便配達」この映画を観ると中国が好きになる… #映画レビュー
1ページ漫画で、飼い犬のエピソードを取り上げましたが、犬の映画ではないです。でもこの「次男坊」が要所要所でいい演技をしているので犬好きにはおススメです。父の仕事に対する誇りと責任感を、飼い犬も解かっているいいシーンです。私も大好きです。

原作は、ポン・ヂエンミン氏の短編小説「那山 那人 那狗」~あの山 あの人 あの犬~ です。映画を観てから原作を読みました。原作は父親の方が主人公です。監督はこの原作の、春先の冷たい河を息子が父親を背負って渡るシーンに感銘を受けて息子目線の映画化を決めたそうです。

ロケ地も広大な中国のなかで桃源郷と言われた地域だそうです。もう、景色が夢のように美しいです。朝の空気感や山奥の緑の豊かさ…全てが水墨画のようです。立ち寄る少数民族の村々がまた美しく、丁度お祭りがあって、錦に彩られた文化は観光気分も満喫させてくれます。

しかし、120キロもの道のりを歩いて奥地の村々まで郵便を配達する…。とても過酷です。パソコンとメールの時代になってもそんな仕事が存在するかと驚きました。現在、中国の地方のインフラは猛スピードで発展しているそうですが、この映画の親子が歩いた山道はそのままでしょうか?
私的には便利な生活を望みますが、他所には、いつまでもそのままで…と思ってしまいます。都会人のエゴかも知れません。

脚本は何と監督の奥様。原作にはない母親を登場させています。女性の視点が加わった事で物語に深みを与えています。父が体験した事をこれから息子も経験して行くんだ、とか、父子の溝が埋まった後、今度は夫婦間の構築が始まるんだな、と気付きます。原作ではここまで匂わせてくれないので脚本家に拍手を贈りたいです。
山村の美少女が登場するあたりは母の若かりし頃をオーバーラップさせ、世代を超えて、繰り返し訪れる生活の営みがとても愛おしく描写されています。

父と歩く引継ぎの旅は、息子が初めて触れる社会として描かれています。
寡黙な父は家では何も語らず、息子に対して初めて父親としての心情をこの旅で、仕事の厳しさを通して語ります。息子は、立ち寄る村々にて信用と信頼を集める父の姿を知り、尊敬の念と仕事への責任感を徐々に深めます。
親子のわだかまりは自然と解けて、息子も村人達に受け入れられ、次からは新しい郵便配達員として、でも他はこれまでと何も変わらない日常が続きます。

旅の最後の夜、今度は息子が家の状況や町内での立ち居振る舞いを父に伝達します。ここにも「社会」が存在し、父にとっても始めての社会生活が始まります。
…行って帰って来る、しかしまだまだ続く…こんなロードムービーもあるんですね。

経済の基本はデリバリーだそうです。流通がないと何も発展しない。文明の発達は、車輪の発明とそれを引く家畜の飼育が原点で発展したと教わりましたが、この映画の本筋にはどちらも存在しません。
…多分、文明があろうがなかろうが、都会だろうが田舎だろうが、確固として存在しなくてはならない"道"を描いているからだと思います。それは、柔道とか剣道とかの"道"です。

物理的に豊かでなくても~たとえ便利な道路が無くても、心の中に"道"があれば後は何とかやっていける…みたいな。
昨今の利便性だけを追及し、全く"道"の抜け落ちた仕事の末に起こった事故を見てると、何故かこの映画を思い出します…。

映画と原作本、両方読むと面白いです。短編集なので他の物語も素敵です。
  【レビュー目次】→ レビュー・目次

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